決議・声明
今あらためて男女共同参画の実現を求める声明
今あらためて男女共同参画の実現を求める声明
我が国は平成12年から5年ごとに男女共同参画基本計画を定めてきており、同17年の第2次男女共同参画基本計画において定められた「2020年30%」目標(「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるように期待する」という目標)を実現すべく、様々な取組みをしてきたところであるが、実現には至らなかった。その要因の一つとして、社会全体において固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が存在していることが指摘されている。
国は、令和2年12月25日閣議決定において、第5次男女共同参画基本計画を策定し、取り組むべき事項として、指導的地位に占める女性の割合が2020年代の可能な限り早期に、30%程度となるよう目指して取組を進めるとした。さらに、男女共同参画は、男性にとっても重要なものであり、男女共同参画や女性活躍の視点を企業組織のみならず、家庭や地域など生活の場全体に広げることが重要となるとし、その際無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が男女どちらかに不利に働かないよう、メディアとも連携しながら幼少期から大人までを対象に広報啓発等に取り組む必要があるとしている。
しかしながら、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会前会長の発言(「女性理事を選ぶっていうのは文科省がうるさく言うんです。だけど、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性っていうのは競争意識が強い」「女性の数を増やしていく場合には、この発言の時間もある程度は規制をしておかないとなかなか終わらないので困る」等々)は、まさに、無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)によるものであり、第5次男女共同参画基本計画の基本方針にも反するものであった。「2020年30%」目標を達成できなかった要因を国際社会に広く知らしめたようなものである。
当会は、今回の問題を、単に批判で終わらせるのではなく、真の男女共同参画社会の実現のための課題を、再認識する機会としたい。そのためには、社会のあらゆる分野において、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスが存在していないか、今あらためて意識しなければならない。
当会は、社会におけるジェンダー平等と男女共同参画の実現のため、積極的な提言及び不平等の是正に取り組むなど、不断の努力を続けていく決意である。
以上
2021年(令和3年)年3月9日
鹿児島県弁護士会
会長 新倉 哲朗