決議・声明
オスプレイの普天間飛行場配備及び飛行の中止等を求める会長声明
米国軍海兵隊は、沖縄県民の悲痛とも言える要求を無視して、普天間基地に垂直離着陸機MV-22オスプレイを配備し、2012年10月4日に訓練飛行を開始した。
オスプレイは、開発段階から重大事故を繰り返しており、2005年に量産体制に移行した後も事故が絶えず、最近でも、本年4月にモロッコでの訓練中に墜落、乗員2名が死亡し、6月にはフロリダ川での訓練中に墜落して、乗員5名が死亡、負傷した。7月にはノースカロライナ州で民間空港に緊急着陸している。2006年からの5年間だけで、実に58件ものオスプレイによる事故の発生が米軍資料により明らかになっている。
オスプレイは設計上、オートローテーション機能の欠陥や低速飛行時の操縦制御装置などの機種構造に重大な危険をはらんでいることが専門家から指摘されている。人為的ミスであるといかに強調されたとしても、オスプレイの危険性がきわめて高いことは多発している事故により明らかである。
このような危険なオスプレイを宜野湾市街地のただ中に存在し、世界一危険な飛行場であるとされている普天間飛行場(2010年7月29日福岡高裁那覇支部判決)に配備することは、大惨事を招く可能性があり、到底許されるものではない。
米国が発表した「MV-22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関するレビュー」によれば、オスプレイは沖縄本島のほぼ全域を飛行することになっており、沖縄本島のほぼ全域が危険に晒されるほか、全国7ルートで低空飛行訓練をすることが予定されている。
九州においては、大分県から福岡県、熊本県、宮崎県の山間部飛行が含まれることになっている。鹿児島県内では、オスプレイの低空飛行訓練ルートとして、奄美大島の瀬戸内町と宇検村の一部、トカラ列島の十島村、子宝島付近がかかるとされている。
今般のオスプレイの配備及び飛行の強行は、沖縄県民のみならず、飛行ルートになっている鹿児島県民の生命、身体、財産に対する重大な侵害のおそれを生じさせるものであり、憲法が保障する幸福追求権の一内容である人格権(13条)、平和のうちに生きる権利(前文9条、13条など)の精神に反すると言わざるを得ず、当会として到底これを容認することはできない。
当会は、このようなオスプレイ配備と飛行に対して強く抗議し、米国政府に対し、オスプレイの普天間飛行場への配備を即時、中止するよう強く求めるとともに、国民が平和のうちに生活し、国民の生命、身体を保護する責務を有している日本政府に対して、オスプレイの日本配備を白紙に戻すべく、米国と交渉するよう強く求めるものである。
2012(平成24)年12月6日
鹿児島県弁護士会
会 長 新 納 幸 辰