決議・声明

長崎市長に対する銃撃事件に厳重抗議する会長声明

2007.04.27

長崎市長に対する銃撃事件に厳重抗議する会長声明

2007(平成19)年4月17日、長崎市のJR長崎駅前において、長崎市長選挙に立候補していた伊藤一長長崎市長が、待ち伏せしていた暴力団幹部に背後から短銃で銃撃され死亡するという事件が発生した。

新聞報道等によれば、犯人は、犯行動機について、市発注の工事現場での交通事故に関する補償等につき、市の対応に不満を持っていたなどと供述しているようであるが、政治的・思想的背景や動機については、未だ捜査中であり、真相は明らかにされていない。しかし、その動機がいかなるものであったとしても、現職の市長に対し、しかも市民と直接触れ合い政治信条を伝えなければならない選挙期間中を狙って行なわれた銃撃行為は、民主主義に対する重大な挑戦であり、政治活動に対するテロ行為であって断じて許されないものである。

長崎市では、1990(平成2)年1月18日にも、伊藤市長の前任の本島等市長が、右翼団体構成員に背後から銃撃され、重傷を負う事件が起きている。このような政治家を狙った政治テロ行為は、標的となった当該政治家のみならず、他の政治家や諸団体の政治活動及び言論の自由を抑制し、萎縮させかねない凶行であり、民主主義の根幹を揺るがす行為であり、断じて許すことはできない。

今回の暴力団幹部によってなされた凶行は、暴力団は自らの主張や要求が通らないときは暴力をもって報復する反社会的集団であるということを如実に現している。今回のような行政対象暴力によって、行政庁が不当な圧力にさらされることにより、行政の公正・中立が害されることになれば、民主主義・法治主義の否定にも繁がりかねず、また、現在、行政に対する不当要求行為に対して、全国的に運動を展開している行政対象暴力排除運動を後退させかねず、強い憤りを禁じ得ない。

鹿児島県弁護士会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現するという弁護士の使命に照らし、これまでも鹿児島県警察本部、鹿児島県暴力追放県民会議等と協力し、暴力団による行政対象暴力、企業に対する不当要求行為等の根絶のために活動を続けて来た。今回の政治活動の自由及び民主主義を否定する長崎市長に対する銃撃行為に対し厳重に抗議するとともに、今後さらに関係諸団体と協力し、暴力団の追放と壊滅に最大限の努力を行うことを決意する。
最後に、志半ばで凶弾に倒れた伊藤市長のご冥福を衷心からお祈りする。

2007(平成19)年4月27日
鹿児島県弁護士会
会長 上野英城

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