決議・声明

死刑執行に強く抗議し,死刑執行を停止し,死刑制度について全社会的議論を求める会長声明

2015.12.24

2015年(平成27年)12月18日,東京拘置所において1名,仙台拘置所において1名の死刑が執行された。今年10月7日に法務大臣に就任した岩城光英法相が就任後僅か2ヶ月余りで執行を命令したものであり,裁判員裁判により死刑判決が確定した死刑囚について,初の刑の執行であった。
しかしながら,死刑制度は,かけがえのない人間の生命を奪うという非人道的行為であることのみならず,罪を犯した人の更正と社会復帰の可能性を完全に奪うという点で他の刑罰と決定的な差がある。
さらに,誤判・えん罪という側面からみた場合,死刑が執行されてしまうと,取り返しがつかないといった非常に深刻な問題が生じる。
世界の国々をみると,徐々に死刑を廃止又は停止し始めており,EUを中心とする世界の約3分の2の国々は既に死刑を廃止又は停止している。
日本国内においても,2014年(平成26年)11月の内閣府世論調査において,仮釈放のない終身刑導入を条件に「死刑を廃止する方がよい」との回答が37.7%に達するなど,死刑廃止に向けた国民的世論が形成されつつある。
当会では,2015年11月14日,死刑判決に関わった裁判員経験者をパネリストに招き,死刑制度を考えると題してシンポジウムを開催した。
その中で,死刑判決に関わった裁判員が現在に至るまで深刻な苦悩を抱えていることが明らかになった。
また,2014年(平成26年)2月には,裁判員経験者から,死刑制度の存廃について国民に十分な情報を開示して国民的議論を尽くす必要があるとして,法務省に宛てて死刑執行停止の要望書も提出されている。
日本弁護士連合会は,2004年(平成16年)の第47回人権擁護大会において「死刑執行停止を求める」決議を行い,2011年(平成23年)の第54回人権擁護大会において「死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける」宣言を行い,また,2015年(平成27年)12月9日,岩城光英法相に対し,「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し,死刑の執行を停止するとともに,死刑冤罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して,死刑制度に関する情報を広く国民に開示して死刑制度のあり方についての議論を尽くすべきこと,そして,その議論が尽くされるまでの間はすべての死刑の執行を停止すべきことを求めてきた。
当会も,本件死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに,すべての死刑の執行を停止し,死刑制度についての全社会的議論が尽くされることを強く求めるものである。

                                                                        2015年(平成27年)12月24日

                                           鹿児島県弁護士会  会 長  大 脇 通 孝

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