決議・声明

集団的自衛権行使容認の閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明

2014.07.23

1 平成26年7月1日、政府は集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を行った。

 

2 日本国憲法は、第二次世界大戦の反省から、前文で平和的生存権を宣言するとともに、第9条において、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした上で、戦力の不保持と交戦権の否認を掲げ、恒久平和主義に基づく平和国家の建設を目指してきた。

今般政府がその行使を容認した集団的自衛権とは、「わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し」た場合にも実力行使ができるとするものである。これは、我が国に対する直接の攻撃がなくても実力行使を許すものであり、また、他国のために戦争をすることを可能とするものであって、明らかに、「国際紛争を解決する手段として」の「武力の行使」を禁じた憲法9条に違反するものである。

 

3 また、今回の閣議決定には、集団的自衛権行使の要件として、「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」と限定が付されてはいるが、その要件は極めて抽象的かつ不確定なものであり、時の政府による恣意的な解釈・運用がなされる危険性が極めて高い。

 

4 このように、今回の閣議決定は、日本国憲法の基本原理である恒久平和主義を根本から変えるものであり、また、時の政府による恣意的な運用を許すものである。このような変更を、憲法改正手続を経ず、また、国会での議論すら行わずに、政府の独断で行うことは、憲法を最高法規と定め、国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務を課して、政府や国会を憲法による制約の下に置こうとする立憲主義にも反し、到底許される行為ではない。

 

5 当会は、これまで、平成26年2月26日に「集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明」、平成26年5月2日に「憲法記念日によせての会長談話」を発し、集団的自衛権の行使容認に対し繰り返し反対の意を表明してきた。それにも関わらず、今回の閣議決定が強行されたことについて、当会は強く抗議し、閣議決定の撤回を求めるとともに、今後の関係法改正を行わないよう求めるものである。

 

                               2014(平成26)年7月23日

                                 鹿児島県弁護士会

                                    会 長 堂 免  修

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